フレッド・ヴァルガスの最新刊『永遠の森の中で』を読みました。
Fred Vargas, Dans les bois eternels (Viviane Hamy, 2006)
アダムスベルグ警視を主人公とするシリーズの続きで、
新たな登場人物として、彼の少年時代(フランス南西部
ベアルネ地方)に近所に住んでいたヴェランという男が同じ
部署に配属されてきます。口からアレクサンドラン(12
音節)の詩のかたちでせりふが次々と出てくるという奇妙
なクセの持ち主です。彼がアダムスベルグに何か恨みを
いだいているようなのですが、何を狙っているのでしょうか。
そんな中、パリの西はずれで殺人事件が起こったり、
ノルマンディの森の中で鹿が惨殺されたりといった事件が
起こります。それらの関係はいったいどこにあるのか、
登場人物たちのそれぞれの個性を浮き上がらせながら
話は思いがけない方向へと転じていきます。
かつて老人たちの世話をしながら次々と殺していった
看護婦が刑務所から脱走したということが分かり、
彼女が自分を逮捕したアダムスベルグに復讐しようと
しているのか? あるいはヴェランの仕返しか?
16世紀の印刷本に記された「永遠の生命」を得るため
の処方箋通りに事件が展開しているように見えるのは
偶然なのかどうか?
独特の文体に乗せられて、一気に読むことができました。